スクリーン印刷にかかせないスキージの話
まずはスクリーン印刷に使うスキージの水研ぎ研磨動画をご覧下さい。
スクリーン印刷の仕上がり具合を左右するのは、刷版、インキ、スキージです。
もちろん印刷環境や印刷機の精度も大切です。
印刷環境については、クリーンルームであることが望ましいことは言うまでもないでしょう。
印刷機は最新式であればどのメーカーでもあまり差がないと思います。
しかし昔ながらのチェーン駆動の印刷機では、スキージ、ドクターの動きがスムーズではないですし、自重だけの印圧は圧抜けや押圧ムラが発生します。
そのため安定性に欠けます。
しかし環境面や印刷機の精度はオペレーターの意思ではどうしようもない面があります。
それでも技量の高いオペレーターは与えられた作業環境の中で最善の結果を出します。
調色や見当合わせの技術も必要ですが、まずはいかに安定したスクリーン印刷を行うことができるか。
そのために必要なスキージに研磨についてふれてみたいと思います。
スキージ研磨
㈲スリーサプライ川口のスクリーン印刷部門では一般的な平スキージを使っています。
保有しているスキージゴムの硬度は70~90°ですが、ほとんど80°のスキージで使用しています。(目安として自動車のタイヤの硬さは約60°です)
印刷パターンやインキ粘度に応じてスキージのエッジの落とし具合やスキージの寝かせ具合を調整しますす。
そのスキージゴムもホルダーにセットしただけの状態では使えません。
スキージに大切なのは歪みが無いこと、直線性があること、エッジの研磨具合が均一であること、全体が均一にしなることです。
安定して均一な印刷皮膜を追求するスクリーン印刷を行うためには、スキージと刷版の接触部分、つまりスキージゴムのエッジ部分を研磨しなければなりません。
㈱協和機工製造の一般的なスキージ研磨機です。
スキージを垂直あるいは斜めにセットし、回転する研磨ベルトでスキージゴムを削ります。
スクリーン印刷工場では必ず目にすることができます。
最初は荒い目の研磨ベルトで荒研ぎを行い、研磨ベルトの番手を上げる、つまり目の細かい研磨ベルトで仕上げ研ぎまで行うことができます。
スキージゴムを溶剤で濡らしながら研磨することで熱ダレを防止し、きめの細かいスキージエッジに仕上げることができます。
スキージ研磨 水研ぎ、磨き
一般的なスクリーン印刷の場合には上で紹介したスキージ研磨機で事足ります。
しかし表面マット印刷や抗菌印刷、パール、メタリック、さらには膜厚管理が必要な高度な印刷に対応するには、さらにスキージエッジの研磨精度を上げる必要があります。
そこで登場するのが上部動画でご紹介した水研ぎのスキージ研磨機です。
ひじょうに番手の高い(目の細かい)ベルトで、研磨というよりもエッジを磨いているという表現がぴったりの、まさに「研磨機」です。
垂直方向、斜め方向にスキージをセットできます。
水で濡らす理由はスキージゴムの熱ダレ防止と研磨ベルトの目が詰まるのを防ぐためです。
水研ぎ研磨は1時間以上行います。
一般的な研磨機と違い、セットした後は人手を必要とせず、ずっと回し続けます。
タイマーを使えば指定時間だけ研磨することができます。
仕上がったスキージのエッジは、まるで鏡面加工されたような平滑性です。
このようにスリーサプライではスキージの研磨に拘ります。
水研ぎ研磨機でスキージのエッジが鏡面になるまで研磨することで得られるスクリーン印刷の安定性、印刷被膜の均一性は、まさに匠の域にあると言えます。
スキージ研磨に拘るスリーサプライの匠の技。
スクリーン印刷会社だからこそ、1本のスキージにも最高品質を求めています。